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明日はきっと晴れ

降り続く雨はない。今日が雨でも明日はきっと。


by mamag_riry
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北海道ひとり旅-函館編3

7月27日金曜日のこと- すてきなことがあった日

基坂(もといざか)を登り切ったところに、コロニアルスタイルの美しい洋館「旧函館区公会堂」がある。
明治末期の木造建築で重要文化財指定の建物。シンメトリーの美しさが一際目を引く。
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当時の函館の豪商、相馬哲平からの5万円の寄付を以て明治の大火の後、新設されたのだという。今のお金にすると十数億円だそうだ。
しかも設計から施工まですべて函館在住の日本人技師や大工の手になるというから驚く。
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皇族も泊まられたという内部の意匠は細かいところまで美しい。ホテル構想もあったそうだが一度もホテルとして利用されたことはなかったという。それも建物の傷みが少ない所以なのかもしれない。
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階下で写真を撮りまくっていると、ドビッシーの「亜麻色の髪の乙女」のピアノ曲が聴こえてきた。

どこかで音楽を流しているのだろう、雰囲気がここにピッタリだわ、と思いながらまだあちこち撮りまくっていたが、ふと、何曲目かの終わりの拍手の音が本物の音のような気がした。

耳を澄ますとピアノは2階から聞こえてくる。これは放送じゃない、と音のするほうへ急いだ。
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やがて体育館ほどもある大広間があらわれ、舞台でピアノを弾いている男性が見えた。20脚ほどの椅子に観客が座っている。そっと近づいて行った。

とてもすばらしい音。でも誰なのか、なぜここでこの時間に弾いているのかわからない。ショパンを弾き終ると、少ない観客におじぎをして終わってしまった。人もいなくなってしまった。



もっと早く気が付けばよかったのに惜しかった、と思いながらまた写真を撮り始めたが、ふと、少し離れた位置で立って見ていた年配の男性が、さきほどのピアニストにかかわりがあるような気がして声をかけてみた。

すると、彼が函館出身の類家唯という27歳の若者で、留学先のドイツから戻ったばかりで、金曜日のこの時間にボランティアで弾いていることなどを教えてくれた。これから一緒に食事に行くので待っているのだという。


「リクエストなども聞いてくれるのですか?」というと、
「そういうこともたまにありますよ。何か聞きたい曲があれば今、降りてくるから言ってごらんなさい」


と話しているうち、類家さんがこちらに近づいてきた。
でももう終わったのだし、食事に行かれるのだろうし、私一人のためにそんな、、、と遠慮したのだが、



「こちらの方がリクエストがあるそうだよ」、「さぁ、どうぞ、言ってごらんなさい」とうながされ、

「では、ショパンのノクターンの…」、本当にお願いしてもいいものかと一瞬ためらっていると、

「はい、大丈夫ですよ、ショパンですね」とピアノに向かって歩き出される。



なのに私はずうずうしくもその後ろ姿に、さっきためらっていた言葉の続きを言ってしまったのだ。
「あの、、、できれば13番を」。

「あー、13番は用意してないのです。2番ならば。2番でいいですか?」と類家さん。



プロだからちゃんと準備というものがあるのにとんでもないことを言ってしまったと思ったがもう遅い。なんておバカな私だろう。
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それでも快くショパンのノクターン2番を、私のためだけにもう一度弾いてくれた。もったいないほどの幸せな時間だった。鳥肌が立ちながら目を閉じて聴いた。


この日、旧函館区公会堂で過ごした時間は一生忘れない。
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Commented by boquet01 at 2012-08-06 19:38
北海道のひとり旅....いいですねぇ~
自由な時間を満喫できたら、これ以上のしあわせは無い!!かしら...
素敵な建築物で偶然にたった一人のためのピアノ演奏会...
ままじさん、至福の時でしたね。

従姉さんのお見舞いお辛いこともあったでしょうお察しします。
Commented by iwamoto at 2012-08-06 22:34 x
自分ひとりのために演奏されるなんて、良い経験でしたね。
亜麻は、リネンですがフランス語では「ラン」って読むでしょ。
わたしは「亜麻色の髪の乙女」を解説するときには、その話をします。
ランジェリーはそこから来ている、つまり、麻で出来ていたのですね。
最近500年前のブラジャーが見つかったとか・・・?

わたしの知る限りのピアニストで、13番をすぐに弾ける人はいません。
2番では物足りなかったかもしれませんが、たくさん望むのはやめましょう。
これからも、ままじさんのために演奏する人が出て来るかもね。

わたしは、人のためには演奏しません。
全ては、神に捧げるものです(なんちゃって)
Commented by ままじ at 2012-08-07 07:15 x
★boquet01さんへ
ほんとにすてきな偶然でした。
こうして時々すてきなことがあるから人生は、
また頑張ろうと、次へ進むことができるのでしょうね。

はい、従妹は自分の病気の本当のことは知らないのです。
まだ元気(のようにみえる)うちに会いに行けて、
涙を流して喜んでくれたことがせめてもの救いです。
私にしてあげられることはそれくらいしかないのです。
Commented by ままじ at 2012-08-07 07:19 x
★iwamotoさんへ
そうなのですか。私はあれもこれも何にも知らなくて。
知らないから平気でお願いしてしまいました。
おかげで次からは気を付けることができます。
Commented by 葉月 at 2012-08-07 20:21 x
物語になりそうな素敵なお話ですね。

こんなにも素晴らしい建物だからこそ
生まれたドラマのような気がします。

生涯の中でこんな経験が出来るなんて、
しかもひとり旅の中でこんな出会いがあるなんて。

一生の思い出ですね。
旅の一期一会は魔法がかかるのかも・・・。
Commented by bajiao at 2012-08-08 07:23 x
ままじさま
この建物、広間はわたしにとっても、思い出の場所です。
夫と義母と3人で旅行したときのこと。
社交ダンスをやっていた義母と二人で踊ったのです。
かつては、ドレスを貸し出していました。
義母はゴールド、わたしは深紅のドレスを着ました。
誰もいない広間で踊っていると、修学旅行中の中学生が覗き込んでびっくりしていたっけ。(笑)
なつかしい思い出です。
このような偶然は本当にあるのですね。
わたしもパリの中世美術館に行ったとき、古楽器の演奏会に出くわしました。
修道院を使って建物だったので、その音色に聞きほれ、しばし中世に遊びました。
Commented by mamag_riry at 2012-08-08 08:15
★葉月さんへ
はい、旅の初めの一日目からして、ほんとうに思いがけない
すてきな経験をしました。

魔法・・・、なるほど。
北海道マジックがいっぱいの旅だったかも(^_^.)
Commented by mamag_riry at 2012-08-08 08:30
★bajiaoさま
この建物は築百年をすぎている木造建築ですが、よくありがちな傷みというものをまったく感じさせない、すばらしい建物です。
bajiaoさんもすてきな思い出があるのですね。
今もドレスの貸し出しはしていましたよ。
ヘアースタイルもドレスに合わせてアレンジしてくれるようでした。
お友達や親子でにぎやかに楽しそうにデッキでポーズを
とっていました。

音楽を公共のいろいろな場所で聞けるようになりましたね。
bajiaoさんは中世美術館で古楽器、私は湯島聖堂へ写真を撮りに
いったとき、二胡の演奏会に出会いました。
大きな像の孔子様もさぞ満足していたのでは、というほどすばらしい演奏でしたよ。
Commented by おかみ at 2012-08-08 18:04 x
ひとり旅・・・というだけでも羨ましいのに、
こんなに素敵なことがいっぱいで・・
いつも頑張っているままじさんに
とびっきりのご褒美なのですよね。

味覚、視覚、聴覚・・・
あらゆる五感をフルに解放して
とても素晴らしい北海道旅行。。
まだまだ続く旅行記、とっても楽しみです。
よかったですね、ままじさん。
よ~し、私もいつか・・・
Commented by mamag_riry at 2012-08-08 18:12
★おかみさんへ
あらぁ、たった今、おかみさんとこへコメしてきたばかりですぅ。
なんかチャット状態だったですね(*^_^*)

はい、まったくすてきなご褒美独り占めしてます。
今後はいかなる苦難に遭おうとも文句のひとつも言えないじゃないか・・・ってほどに(^_^;)

おかみさんもいつか上手にエスケープしてくださいませね。
by mamag_riry | 2012-08-06 09:22 | Trackback | Comments(10)